新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」

2018/1/6土 18:00~ 2018/1/7日 14:00~ 新国立劇場オペラパレス

2018のバレエ鑑賞はじめは新国立バレエから。

新国立のバランシンのコールドが大好きなので引きで観たい。でも、絢子ちゃんのアップも。。。ということで、初日は3階、2日目は1階と、場所を変えて観ることにしました。

 

指揮:ポール・マーフィー

管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

第1部

「パ・ド・カトル」

音楽:チェーザレ・ブーニ

振付:アントン・ドーリン

タリオーニ:本島美和、グラーン:寺田亜沙子、チェリーニ:細田千晶、グリジ:木村優

1845年の初演時、クラシックバレエ史に名を留める名花4人が一堂に会して踊ったプロットレス(粗筋のない)バレエ。残念ながらオリジナル版は残っていず、よく踊られるのがこの、1941年にドーリンによって復元された振付。初めてポワントで踊ったとバレエの本にも挿絵が載っているタリオーニがいわば座長で、本島さんはさすがの風格で舞台を締める。残り3人も当時のスターダンサーなので、踊りの順番を譲ったチェリーニが引っ込むときに肩をすくめたりと、ザ・クラシックな振付ながら、ときおりくすっとさせるシーンも。

3階から見ていたとき、誰?あの上手な人は?一人だけ体が浮いている!と驚いたのが、チェリーニの細田さん。年末の「シンデレラ」での仙女を観たとき、上手いなあとは感じたものの、これほどとは思わなかった。足のポジションはアカデミック。アームスも優雅で、手を顎の下で合わせる決めポーズの際も、ふんわり動かしてきたら自然とそこに落ち着いた、というふうで、わざとらしさがまったくない。クラシックのテクニックが素晴らしく、これからも注目していきたい。

 

「グラン・パ・クラシック」

音楽:フランソワ・オーベール

振付:ヴィクトル・グゾフスキー

小野絢子、福岡雄大

1949年初演。古典バレエのグラン・パ・ド・ドゥの形式で構成。いろんなガラで、もう笑っちゃうくらいの超絶技巧を観てきたので、新国立の看板ダンサー2人といえども、やっぱりおとなしいなあ、というのが正直な感想。しかし、超絶技巧を見せびらかすだけで音楽性を無視した踊りも多いなか、さすが絢子ちゃん、豊かな音楽性で、オーベールのわっかりやすい音楽をとても素敵な音楽に錯覚させてくれた。福岡くんも、あの体格としては驚異的な柔らかい踊りで、マネージュもきれい。現代日本のバレエ界を代表するカップルであるなあ、と、再認識。

 

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

振付:ジョージ・バランシン

米沢唯、奥村康祐

1960年初演。チャイコフスキー白鳥の湖」のために書いたものの、長い間忘れ去られていた第3幕のグラン・パ・ド・ドゥの曲にバランシンが振付。これもまた、各種ガラ公演で素晴らしいものを観ているから。。。唯ちゃんはテクニックはシャープだし、奥村くんも上手なのですが。。。唯ちゃん、もう少し緩急をつけて、音楽にのっていってほしかったかな。奥村くんも足は素晴らしいのですが、ちょっと肩が上がって見えるのが損をしているかも。

しかし、どうしてこちらを第1部のラストに持ってきたんだろう。「グラン・パ~」で締めたほうが絶対盛り上がるのに。このペア、香盤でとても損をしたように思います。

 

第2部

「シンフォニー・イン・C」

音楽:ジョルジュ・ビゼー

振付:ジョージ・バランシン

第1楽章:米沢唯、福岡雄大

第2楽章:小野絢子、菅野英男

第3楽章:池田理沙子、渡辺峻郁

第4楽章:細田千晶(6日)/木村優里(7日)、井澤駿

1947年初演。ビゼー交響曲第1番ハ長調にバランシンが振付たもので、音楽をみごとに視覚化。4つの楽章ごとにソリスト&コールドが次々と入れ替わり、第4楽章の終盤で全ダンサー50名以上が勢揃いしたところの高揚感と言ったら!

軽快な第1楽章では、小柄な唯ちゃんを福岡くんが軽々と飛ばせてあげるのが気持ちいい。ジャンプの多い男性パートを、福岡くんをトップに中家正博くん、小柴富久修くんがよく踊っていた。女性ダンサーでは柴山紗帆さんが音楽性豊かで目を引いた。

スローテンポで叙情的な第2楽章の絢子ちゃんは、もう圧巻。

第3楽章は五月女遥さんについつい目が。。。彼女の踊りは輪郭がくっきりしていて、バランシンにぴったりだと思うので、ぜひ一度ソリストとして踊らせてほしい。小柄だけど胸がきれいに開いていて大きく見えるし、センターの存在感は十分にあると思う。渡辺くん、踊りはきれいだし、背も高く脚も長く、順調に主役級ダンサーに育ってきていますね。

第4楽章の女性ソリスト、初日は細田さん、2日目は木村さんで拝見。この演目については細田さんに1票。

オペラパレスの舞台は奥行きがあって広いので、3階から観ていると、全員勢揃いになるまでは、ダンサーが少なく、ちょっと寂しいなあ、という気になるのだが、1階で観ると充分ぎゅうぎゅうしている感じ。1階も前列ながら相当下手に寄ったところから観ていたのだが、コールドのフォーメーションが正確なので、どんなに斜めから見ても美しい。アジア人ならではのほっそりした体のライン、全員で息を合わせぴたっと揃えようという意気込みが、世界一(と勝手に思っている)のバランシンを作り上げているのだと思う。あと10回観たいくらい、新国立のバランシンは素晴らしい!