パーヴォ・ヤルヴィ&N響『ウエスト・サイド・ストーリー』<演奏会形式>

パーヴォ・ヤルヴィ&N響『ウエスト・サイド・ストーリー』<演奏会形式>レナード・バーンスタイン生誕100周年記念

2018/03/04日 15:00開演 Bunkamuraオーチャードホール

バーンスタイン/ウエスト・サイド・ストーリー(演奏会形式)~シンフォニー・コンサート版(原語上演・字幕付き)~

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
マリア:ジュリア・ブロック、トニー:ライアン・シルヴァーマン、アニタ:アマンダ・リン・ボトムス、リフ:ティモシー・マクデヴィット、ベルナルド:ケリー・マークグラフ、アクション:ザカリー・ジェイムズ、A-ガール:アビゲイル・サントス・ヴィラロボス、ロザリア:竹下みず穂、フランシスカ:菊地美奈、コンスエーロ:田村由貴絵、ディーゼル:平山トオル、ベビー・ジョン:岡本泰寛、A-ラブ:柴山秀明
ジェッツ、シャークス:東京オペラシンガーズ
ガールズ:新国立劇場合唱団

演奏会特集サイトによると、父以外で唯一尊敬する指揮者がバーンスタインだというパーヴォ。タングルウッドで出合い、LAのマスタークラスで直接バーンスタインから指揮を学んだこともあるという(当時の写真がパンフレットに載っていた。髪が豊かなパーヴォは美青年だった!)。そんなパーヴォの指揮なら絶対いいはず!と先行発売初日にチケットを確保。といってもB席、オーチャードホール3階センターの3列目から遙か下のステージを見下ろしての鑑賞。そういえばミュージカルの舞台や映画は観たことがあったが、シンフォニー・コンサート版を聴くのははじめて。意外と上演時間が短いな、と思っていたら、なるほどこれは短いわ、というかいつまみっぷりだった。

オーケストラは、最初のうちは音楽のリズムに乗りきれない感があったものの、歌手が登場するころには取り戻し、歌と一緒に盛り上がっていく。クラシックや現代音楽以外のN響を聴くのは初めてだが、スローなナンバーはさすがに上手い。ただ、弾けるようなノリがあるかというと。。。

歌手陣、マリアのジュリア・ブロックはボストン響のオープニング「バーンスタイン・ガラ」に抜擢された有望株。ソプラノだが意外と地声が低いのに驚いた。トニーのライアン・シルヴァーマン、リフのティモシー・マクデヴィットはミュージカルでも活躍中。ストーリーを進めていくためには台詞回しが上手い必要があるので、この二人がキャスティングされたのかも。アニタのアマンダ・リン・ボトムスはすらりと背が高く、かわいいというよりかっこいい系。声も説得力のある強さ。そんなアニタとロザリアのかけあいが楽しい「アメリカ」では、竹下みず穂さんが好演。ひとりダンスっぽくステップを踏むところがちょっと恥ずかしそうに見えたけど(そして、ミュージカル版だとそれほど気にならないが、音楽と歌だけになると、手放しのアメリカ礼讃が気になってしまう)。「サムウェア」を歌うアビゲイル・サントス・ヴィラロボスも澄んだ声のトーンが魅力的だった。

ちょっと思ったのは、この演目なら、多少音を外そうが厚みがなかろうが、ノリが命なのかな。「マンボ!」なんて、エル・システマのコンサートでのアンコールが今まで聴いた中で一番だったかも。。。