新国立劇場オペラ「アイーダ」

2018/4/5木 18:00開演 新国立劇場 オペラハウス

作:ジュゼッペ・ヴェルディ

指揮:パオロ・カリニャーニ

演出・美術・衣裳:フランコ・ゼッフィレッリ

出演:

アイーダ:イム・セギョン、ラダメス:ナジミディン・マヴリャーノフ、アムネリス:エカテリーナ・セメンチュク、アモナズロ:上江隼人、ランフィス:妻屋秀和、エジプト国王:久保田真澄、伝令:村上敏明、伝令:小林由佳

合唱:新国立劇場合唱団

管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

バレエ:東京シティバレエ団

児童バレエ:ティアラこうとう・ジュニアバレエ団

全4幕<イタリア語上演/字幕付き> 上演時間3時間50分(休憩3回)

 新国離劇場 開場20周年記念特別公演。1998年新国立初演のプロダクション。以来、2003、2008、2013と5年ごとに再演し、今回が5回目。「アイーダ」のある年はセット券の売れゆきがいいという、新国立にとってはドル箱な演目。上演記録を見ると1998年は、マリア・グレギーナのアイーダ、ホセ・クーラのラダメスという顔合わせだったのだからすごい。

幕が上がると、いかにも砂漠らしい強い光に照らされた宮殿が現れる。実は舞台装置そのものに影をペイントして光の強さをより強調しているそう。全幕通じて舞台前面には紗幕が下ろされ、紗幕越しに見ることで舞台が一枚の絵のように感じられるという工夫が。2幕凱旋の場は、2階建てにした舞台を埋め尽くす、総勢300名を超える出演者。馬が2頭も登場し、人が舞台からこぼれ落ちそうなほど。ゼフィレッリらしい豪華絢爛な舞台。4幕2場、アムネリスが祈る神殿がせり上がり、舞台下からアイーダとラダメスが閉じ込められた石室が現れ、最後は再び地下へと消えていく。オペラパレスの舞台機構を上手く使った演出も、さすが巨匠。

舞台の豪華さに目が眩み・・・

このプロダクションを観るのは初めて。なので、その豪華さに目を奪われ、1幕、2幕と音楽に集中できなかった。せっかくのカリニャーニのタクトなのに。。。オケと歌手たちに目が行くようになったのは、ようやく第3幕、ナイル河畔の神殿の場から。

アイーダのイム・セギョン、小柄ながら声量があり、力強い。けど、なんだか心が動かされない。ラダメスが心惹かれる理由、愛らしさとか清楚さとか、イム・セギョンの声と演技にはそんな”守ってあげたい”感がなかったからかな。いっそアムネリスのほうが合う気がする。ラダメスのナジミディン・マヴリャーノフはオペラ歌手としてはしゅっとした体型で声もしっかりしているのだが、主役の華やかさに欠けるような。。。勝利を得て戻った若き将軍の高揚感みたいなものが欲しかった。アムネリスのエカテリーナ・セメンチュクはエジプトの王女らしい高貴さ、アイーダを見下す感じがとてもよかった。そんなプライドの高い彼女が4幕、ラダメスへの思いに煩悶するモノローグについ感情移入。まあ、このストーリー自体、女性はどうしてもアムネリスに肩入れしてしまうと思うんですよね。アイーダに感情移入するのはなかなか難しい。。。

カリニャーニの指揮は東フィルをよく鳴らしていて、新国立劇場合唱団はいつも通り素晴らしい。満足度の高い公演だったが、さて5年後もこのプロダクションを再演するのか、そろそろ新制作となるか? これほど豪華な舞台を新制作するのは困難だと思うので、できれば再演でお願いしたいのですが。